みるんじゃねぇ、さわんじゃねぇ!


エドワード・エルリック作
この日記は無断転写、無断解読で宜しく
何せオレ様の丸秘日記だからな


2月14日 晴天。

正午。
まだオレ――ロイの家にいる。
ずっと伝えたかった気持ちを粉砕覚悟で昨晩ロイに伝えた。
そしたら「まだ…間に合う」って――その言葉の続きを日記に残すのはちょっと恥ずかしくて、この辺りで許してくれ
でも、腹の底から出された低音にオレは胸を掴まれた。
今迄、浮世話しに欠いたことがない男だった。それを割り切って、抱かれていたこともあったけど。
何だろう。いつ頃からか、辛そうに俺達は繋がっていたと思う。互いに言えない思いを心に秘めて、身体だけが繋がっていた。底なし沼でもがく感じ。
だからこそ、ロイの積年の想いが込められた声音に偽りはないとオレは確信した。
正直すっごく嬉しかった!
瞳から溢れ出す雫が落ちないように、視線を上に向けたら眩かった。
昨日は満月だったんだ。
偽ることなく、全てを曝け出す煌々と輝く満月をオレは見ていた。
綺麗だった――。
率直に自分の気持ちを伝えることだけに、数十年という月日はいらなかったと思う。
一瞬だ。
幾億光年も先の未来で星が瞬く一瞬の出来事。
悔しくも涙が出てしまった。失った歳月が痛い。
オレはそれだけの葛藤を胸に抱いて、漸く此処に辿り着いた。
そんな覚悟を他所にロイの奴は悠々たる姿勢でオレを迎え入れてくれた。
言えなかった想いを、その相手から返されると脊髄から言い知れぬ痺れがやって来るんだな。
奴の肩に顔を押し当てて、オレは泣いた。
そして、ロイの背中に痕が残るほど抱きついたら、全てを包み込んでくれた。


どうしてこの男の腕はオレをこんなに優しく包むんだろう。
初めて俺達と逢った時から、オレの全ての咎を受け入れた男だった。
それが――ロイの愛情だと気づいたのは、ほんの最近のことだった。一生、その想いに応えられないと想っていたけれども――。
オレはこうして今ロイ・マスタングの寝室にいる。
そんで……オレは――昨日の晩。
抱いてもらった。
全部、ひっくるめて抱かれた。
この気持ちを伝える前は、ロイは絶対にオレの女の部分に触れてこなかった。
男の部分も女の部分もあるオレの半端な身体を気持ち悪いって思ってんだろう、とオレは勝手に思っていたけど。
実際、オレも…あんま好きじゃないんだ。
この身体。
何でこんな身体に産まれついたのか。今でもすっげぇー悔しく思う。
けど――ロイが始めてオレの……女の部分にも優しく触れてくれて全てを愛してくれた。
身体が溶けちゃいそうで怖かったけど、すっげぇー気持ちが良かった。両方とも――。
でも痛かった! 
あっちは初めてで……こっちは久しぶりで……
もう何、書いてんだか! ぜってぇーこの日記読まれるとヤバイよな!
ただ、こんな事になるなんて思ってもいなかったから驚いている。だからこんな破廉恥な出来事を日記に書き綴っているんだと思う。
今は司令部に出勤していて、オレは一人だ。
本当にロイの家に居ても良いのかな?
ロイの残り香が残るこのベッドは居心地が良い。ずっとこの男に包まれていたいと想う。
「ずっと居てくれ」って、言われてすっげぇー嬉しかったけど…。
不安はあるんだ。
だってオレはロイに何にも残してやれない。将来や後継者の期待とか…他にも色々。
アイツには、もっともっと上に行って貰わなくちゃいけないのに。
その足かせにオレは絶対になると思う。
それに――言いたくないけど、普通の女性の用に子供も産んでやれないから。
産めるものなら産んでやりたい。
それは本当に思う。
だから、ロイにその気持ちを正直に伝えた。
それなのにロイは「関係ない」って、言ってくれた。
正直、このまま時が止まってくれたらと思うほど嬉しくて……。
やっぱ、来て良かった。
この想いをロイに伝えることができて良かったと思っているし、オレの方こそロイの傍にずっと居たいと想っていたから。
ただ、オレが臆病で言えなかっただけ――。

ロイ、ありがとう。この想い一生大切にするよ。
そして、アル――ありがとな! 背中押してくれて。

何だか今日の日記はめっちゃ恥ずかしいな。そんで長くなってしまった。
オレは――人が一生で味わう幸せと言うものを今、全て受け取っていると想う。




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