「続 a night with a full moon 」
「うぁー、もう遅くなっちゃったね!兄さん」
「あぁぁ、そうだな ―― …」
セントラルの駅を出たエドワードとアルフォンス。
外に出てみれば、もう月が出ている時刻になっている。
兄にせかされるように前の町をバタバタと出てきた。
そんな、もう明日の出発にしようよ、と僕は言ったのだけど。
我、道生きるの兄さんは、先を焦るように出発したのである。
やっぱり、やっとの事でセントラルにたどり着けば…。
もう、夜更けで。
「はぁー、何でこんなに兄さんは、せっかちなんだろう」
「はぁ …?何か言ったか。アル…」
長い汽車での旅で身体がこわるのだろう。兄さんは夜空に向けて大きく伸びをする。
せっかちな兄だが、伸びをする仕草が可愛らしい。
それを言うと、怒られるので黙ってるけど。
そんな姿をくすくす、と見ているのが僕は楽しかった。
が、兄さんは僕の視線に気づいたのか。
「何、見てんだよー!アル…」
「別に、それより月が綺麗だね!今日は、満月?」
僕は話をそらす。そして、2人夜空に瞬く月を眺める。
煌めくように、明るい満月。
ずっーと、時を忘れるように見ていると月に吸い込まれそうになる。
「あぁ、今日は仲秋の名月だ!十五夜だよ。アルー」
首は、まだ夜空に向けたまま。十五夜の月を見上げ続けている。
兄さんの金色の瞳一杯に、月が満ちているように映し出されているのが
僕には見える。
綺麗な瞳だ…。満月のような瞳。僕も同じ瞳をしていたに違いない。
今は鎧だから、確認する事ができないのは仕方がないのだけど。
「そうだったねー!兄さん、知ってる?」
「何を…」
「月には、「うさぎ」が住んでるんだよ!」
いいなぁーと、嬉しそうに語るアルフォンスに。おい、大丈夫かという顔を
するエドワード。
「 ――― ? おまえ童話の読みすぎ…」
「えぇー、兄さん。僕の夢を壊すようなこと言わないでよ!」
可愛いもの好きのアルフォンスらしい。
「まぁー、いいや。オレ、今から司令部に行って来る」
兄さんの声が、とても嬉しそうに聞こえる。まぁ、理由はわかるんだけどね。
こんな時間から行かなくてもと、思いはしたけど。
その為に急がされたのか、もしかして…。
「じゃ!アル、いつもの宿でな…。行って来るー」
僕からの返事を待つ事もなく、兄さんは走って行ってしまう。余程楽しみなのかな、
あの人に逢うのが。
パタパタと走っていく兄さん。その姿が、「満月に住んでいるうさぎ」のように
見えてしまう。
それは、僕だけだろうか。
金髪の三つ編みが、「うさぎ」の耳。その耳が、ぴょこ、ぴょこ、と跳び跳ねながら
走っていく。
「金色のうさぎ」。
僕には、そう見えるんだけど。
また、言うと怒られるので黙っていよう。
僕は満月に向かって願う。「うさぎ」降りてこないかなと。
「月光うさぎ」とか名前付けたら駄目かな。
降りてきたら僕、絶対飼うな。
今日の夜の考え事は、「うさぎ」だね。
うちの「金色うさぎ」は、走って愛しい人の所へ行ってしまったから。
僕は、妄想の中で「月光うさぎ」を愛でよう。飽きることなく満月の光を浴びながら。
2005/9/21 「十五夜」の続き。桜 美由紀。
アルフォンスの視点から見た「十五夜」。
2005/10/25(改新版) 日記掲載分よりサイトにアップ☆「加筆修正あり」
すみません(汗)今頃…。