愛すること、愛されること。(2)











「嫌だ! やめっ――
書庫に悲鳴が上がる。
エドワードの切ない泣き声が漏れる。身体はガタガタと震え身動きがとれない。こんなこと慣れていたはずだった。
あの見世物小屋で暮らし始めてから自分の身体は商売道具と扱われてきた。他人にこの身体を興味津々に見られ、ある時は笑われた。そして触れられる。
色んな男達の慰み者として身体を晒してきたのに。
そう。
ロイに買い取られてこの屋敷で働くようになって、ロイの胸に愛される間柄になって忘れていた。
自分の身体の汚さを。
汚辱にまみれ幾人もの男の精を受け入れてきたこの入れ物。
「嫌だ! 助けて…こんなの嫌だ」
半狂乱になって暴れるエドワードをロイは強引に押さえつけた。彼が何に怯えるのかわかっている。
だけど、ロイは待てなかった。
「頼むわかってくれ。エド…愛しているんだ!」
ロイは彼の着物の襟元をぐっと開き白い胸を露にさせる。が、そこで勢いのあった手は止まる。
右肩から腕の付け根に抉れたような酷い傷跡。それを目にしてふっと肌蹴た裾から伸びた白い二本の脚に視線を移す。
その左脚膝上辺りにもまだ完治間もない赤く抉れたような傷跡。
彼の身体は満身創痍だった。
ロイの手が止った訳はわかる。
少し落ち着いたエドワードが荒い息の中静かに語る。
「なぁ、オレこんな身体なんだよ。こんな醜い身体アンタにふさわしくない。ごめん…」
ぽろぽろと涙が頬を伝っていく。
彼はもういいだろうと、ロイの身体から抜け出そうとする。こんな身体を見て大抵の男は興ざめする。
が、ロイは違った。
触れるのも煙たがれる傷跡に優しく口付け丁寧に愛撫していく。
まだ痛みの残る箇所から別の痛みが発生する。
「やぁ…」
「エドそんな事はない。君は綺麗だよ! 私は君の心に惹かれた。私を変えてくれたのは君だ」
ロイはうろたえる彼の身体を押さえつけて白い生肌に吸い付いていく。
もう待てない。
わかって貰えないならば、自分の身体の熱さでわかって貰おう。
彼の執拗な愛撫は彼を攻め立てていく。
飾りのような桃色の胸に歯を立て舌で舐める。彼から悲鳴と一緒に甘い呻き声が上がる。
「あ、あん…」
ロイの熱をもった口唇は彼の身体のいたる所に赤くうっ血した痕を残していく。吸って舐めて、優しく噛む。
彼の白い肌は恍惚と薄く色づく。
が、身体と心はうまくついていかない。ロイに抱かれたい。だけど、抱かれる価値もない身体と思っているエドワードには拷問に近い愛撫だった。
身体の中で狂おしいほど熱が篭もっていく。
精神はついて行かなくても身体は勝手に欲望を満たして欲しくて揺れる。そして、濡れていく。
恥ずべき身体だ、と心は涙を流す。
ロイの手は禁断の場所に踏み込む。あの荒廃した見世物小屋で幾人にも見せられ触れられていた秘所へ。
興味の的であった場所。
その秘所と屹立した男根は雫を垂らして濡れていた。彼の着ていた帯はいつの間にか解かれ、着物は要をなくしていた。その着物の裾をどうにか手繰り寄せて必死に逃れようとする。
それをロイの身体全体で阻止される。快楽が襲ってくる。エドワードは無節操な下半身にどうする事もできない。
「エド逃げるな…」
「こんなのヤダ。オレはアンタに抱かれたくない」
身体の関係を持ちたくなかった。
そう今迄身体が目的の輩ばかりだったから。だから、ロイとはこんな関係にならず、ずっと一生傍にいたかった。
そんなもの詭弁なのだが。
そう思っていた。
淡い夢。
その反面激しく求めてもいた。あの胸に抱かれたい。この身体の穴をロイの熱い男根で埋めて欲しいと。
「駄目だ。私は男だ。君が欲しい。それはわかってくれ」
「うっ……、ヒィッ
――
ロイの無骨な指が荒々しく彼の秘所を弄る。中に侵入して熱く濡れる肉を内部から撫で回す。くちゅくちゅと卑猥な音が耳に聴こえる。
ああ――何と卑しい音だ。
耳を塞ぎたいが、ロイの手によってしっかり固定されてしまって身動き一つできない。
「ヤダ
――
彼の泣く姿を見てもやめる気配はない。ロイの指は激しく中で回転して抜き差しを繰り返す。
ぐちゅぐちゅとロイの指を濡らしていく。彼の膣は熱く、そしてロイの指をきつく緩く収縮を繰り返す。名器である。
限界に張り詰めた男根はたらたらと白い雫を漏らしている。
もうエドワードに理性は残っていなかった。
勝手に揺れる腰を抑えることもできない。快楽に酔い痴れる身体を抑える事もできなかった。




続く

強引なH編です。
旦那様〜。あれぇーと帯をくるくると巻き取られる姿が…。
H編次回に続きます。

桜 美由紀 2006/2/28