愛すること、愛されること。(3)











上へとずり上がる身体を無理やりロイの身体の下に押さえ込み悲鳴を上げる口唇を塞ぐ。
押し殺した声はロイの口唇に吸い込まれる。
エドワードの生白く柔らかい太腿。醜い傷が残る左脚を掴み慈悲も与えずに極限まで開かせる。痛みを訴える口を粗野に手が塞ぐ。そして耳元に優しく呟く。
「頼むから。大人しくしてくれ。私は君を妻に迎えたいのだ…」
エドワードの涙に濡れてぼやけた瞳に物悲しそうなロイの表情が映し出される。だけど、首を縦に振る訳にはいかなかった。
横に振られる首を沈痛な思いで見る。
そして、一言。
「すまない…」
と、言うとロイは自分の熱く聳え立つ強靭な男根を彼の膣にあてがい身体を前に進ませた。
久方ぶりに異物を挿入される膣は今にも裂けて切れそうだ。きつい膣壁に構わずぐいぐいと突き進んでいく。
エドワードの背は弓のように反り返り、塞がれた口から声が漏れる。
痛みから逃げようとする身体を逞しい腕が腰を掴まえる。更に屹立した男根が穿孔して彼の名器を埋めていく。
「ん、ウッアッ……」
苦しい吐息が澱んだ空気に混じる。
だらりと緩和したエドワードの身体をゆるゆると上下させ始める。収縮を繰り返す膣は濡れて滑りよく男根を包み込む。灼熱の肉棒が内臓を出入りする。その度に潤沢な秘所は淫らな音を立てて、次第に自らロイの男根に食らいつき、粘りつく襞が強欲に快楽を貪っていく。ロイは暴力的な力で彼の身体も心も奪い取ろうと奔走する。
こんな事でしか彼を自分の手中に納めた感がないのである。
待てなかった。
待ちたかったのに。
激しく力の限り穿孔していく。
「アッ……。ふっう……」
揺すられる度に気が遠くなるほどの快楽を味わってしまう。それに気づき、ふっと我に返ったように恍惚とした表情に亀裂が入る。逃げようともがいていた身体はいつの間にかロイの鞣革のような腰にしっかり脚を絡めていた。
ああ
――何と嘆かわしい姿。
ロイは絡みつく脚が愛しくてたまらない。自分の欲望に身体だけでも応えてくれる。更なる官能的な欲情を発してしまう。
「いいかい。感じるのだろう」
狂おしく吐息を吐き出すので精一杯なエドワードの耳元に囁く。返事は返ってこないとわかっていても。
が、返事は返って来ずとも今迄逃れようと奔放していた両腕がロイの首をぎゅっと抱きしめていた。
嬉しかった。
その動作が嬉しかった。
ロイの腹とエドワードの腹で擦れて屹立した男根は厭らしく透明な雫を流し続けていた。色のない雫は彼に男性機能が未発達だという事を教える。
その男根がピクピクと震え始めると小鳥の囀りのような声がロイの耳元で聴こえる。
「アッ、ダメ……。イクッ
――
彼が快楽に身を任せる様が妖艶で美しい。視覚でも随分楽しませてくれる彼。それ以上にこのふたなりの身体は男を虜にする。一度味わえば、また欲しくなる。麻薬のような存在だ。男根を至上の快感へ導く。
あ、あっと小刻みに声が漏れている。限界に近いのだろう。
「一緒にいこう。エドワード愛している」
ロイの長い指が彼の指を絡め取る。
「んっ……」
ロイの先走りの蜜とエドワードの膣から溢れ出す雫が混じり合いぐっしょりと濡れて光る。ほどなくしてロイは絶頂を迎え、エドワードの体内に全ての精液を放った。エドワードは両脚をその腰に絡ませ、男の絶頂の震えを感じながら自らの男根からも吐き出す。
心地よい疲労感にロイは彼の身体に覆いかぶさる。その腕の中にはしっかりエドワードを抱きしめている。エドワードは首を横に傾け荒い息を吐いている。瞳を合わす事ができない。
汗に湿った前髪、横髪を愛しげに梳いてやる。火照る身体をぎゅっと抱きしめて彼の額にキスをする。その熱いキスから逃れるようにきつく瞳を閉じる。男は満足げに啄ばむように顔中に軽く口付けていく。
愛しかった。
だが、そんな甘い時間は僅かしか与えられなかった。
急に心が空虚になったエドワードは、ぱっとロイの胸を突っぱねる。
「エド!?」
それから、慌てたように脱ぎ散らかされた着物を掴み裸の身体をそっと隠すように覆う。その姿は痛々しい。まるで穢された淑女のようだ。
ロイはそっと俯いた顔を自分に向かせるようとするが、嫌がられた。それでも根気よく優しく名前を呼んでやる。エド、エドワードと何度も。
だが、名を呼ぶたびにプルプルと首を振られる。
やっとこちらを向いてくれたかと思ったら、キラキラと輝く涙をポロポロと流しながらこう言うのだった。
「ごめんなさい」
と、か細い声で。
謝られる事は何一つしていないのに。
彼の涙を止める事はできないのだろうか、とロイは切なく思う。涙に濡れる顔を自分の胸に納めてしまおうと手を伸ばすと、彼は疲労困憊した身体を立ち上がらせた。
それから無言でふらふらと左脚を引き摺りながら書庫を出て行ってしまった。
差し伸べた手は虚しく空を切った。




続く

H編終了!
いかんですよ。旦那様! 強引な行動は…。
エドの気持はどうなんのよ。

桜 美由紀 2006/3/5