【秘 密 結 社 act.1】
「国家錬金術師」ばかりを殺害する事件がアメストリス国内で起こっていた。ヒューズ中佐からの報告によると今年に入って中央で5人。国内では10人と被害広がっていた。
所謂、イシュヴァールの民 傷の男「スカー」の事件だ。
中央司令部からヒューズ中佐とアームストロング少佐が「綴命の錬金術師」ショウ・タッカー氏を中央司令部「大総統府 国家錬金術師機関」へ連行するために東方司令部へと赴いていた。
が、結局のところその役目はがらりと変わってしまった。連行する人物が死体となってしまったからだ。そして、その犯人逮捕へと任務は変更となったのである。
「おい、マスタング大佐よ。ヤバイよ。これはスカーの仕業だ」
「噂は聞いていたが…」
「友人からの頼みだ。大人しくしてくれよ」
「ああ…、ん、しまった!鋼の、が外にいるはずだ」
「何ぃ――!?」
その場にいたマスタング大佐配下の者達が一斉にその話に首を突っ込んできた。ロイは何が起こったのだと。何故に鋼の、に対してこんな反応が返ってくるのだと驚いてしまう。
「いかんですよ。早く救助してやんねぇーと」
「乱闘していたら、どうします。服とか破れていたりしたら…」
「かなり、ヤバイと思います」
「そうだな。この前会ったとき、何か身体つきが柔くなったかもと…」
「それに外は雨です。風邪でもひいたら厄介ですよ」
「ん、そりゃー、いかんな。ここは飢えた野郎が多すぎる」
何なのだこの会話は、誰のことを言っているのだ。私にはよくわからんぞ。そんな鋼の、の事を心配!?しなくても、かなりの腕と体力を持ち合わせているからそこまで心配する事はないだろうと、思うのだが。
勝手に話は進んでいる。ロイも仲間に入れろと首を突っ込むが邪険に突っ放された。
「オイ、何の話なのだ…」
「――― …」
無反応である。総スカを食らってしまった。
私は一応君達の上官なのだが、とロイは悲しく思う。
ロイを無視したまま話はどんどん進んでいく。
「それはまずいわ。大佐に早く救出の指示を出してもらわないと」
「そうだな!ロイ、命令を早く出してくれよ」
今迄散々無視しておいて、この横柄な態度。何をそんなに焦っているのだ。確かに彼を助け出さねばならないと私が一番に思っているのだが、それに便乗するようにこいつらも乗ってきたと思う。それにしても、反応がやや違う方向に向かっているような気がするのは私だけか。
ロイは目の前で飛び交う不可思議な会話に頭を悩ませながらも命令を出すのであった。
「車を出せ!急ぎ鋼の、を救出せよ!」
「は、!」
蜘蛛の子を散らしたように連中はその場を解散した。
命令を出したが、1人取り残されたようなロイ・マスタング大佐。彼の胸中はこの事態が飲み込めないでいる。
と、取りあえず鋼の、を救出に行こうと彼は思うのだった。
* * *
「そこまでだ!」
ロイの「傷の男」を鋭く威嚇する声がその界隈に響き渡る。「傷の男」スカーは、軍人に囲まれる事となり、重症を負ったエルリック兄弟を置いて、この場を退散するしかない立場となった。
彼を取り逃がす結果とはなったが、エルリック兄弟を救出することには成功した。
が、しかし、ここで大問題が発生した。
エルリック兄弟達を無事に発見したのだが、その場にいた連中は慌てまくることになる。
何にと、突っ込みたくなるが、連中は必死だ。
「ヤバイ!ロイを隔離しろ。大至急だ!」
「は、!オイ、ブレダ少尉。大佐の前に囲いを作れよ」
「了解!さあ、さあ、大佐この中にちょっと来ていて下さいねぇ」
「なぬ。何故なのだ。私は鋼の、に話が〜」
「はぁ〜い。それは後でお願いします」
「それに彼は負傷しているようだ。私が…」
「はい、はい。それはこちらにお任せ下さい」
ロイはエドワードの傍に寄りたくても連中に阻まれる。それも人間囲いの中に入れらた。不覚にも自分の周りは軍人だらけであっちに行けない。あっちとはエドワードのいる所だ。
私はそっちに行きたいのだ。
鋼の、は機械鎧が破壊されていて心配だ。それに、雨も降っていて風邪でもひいたら尚、大変だ。
何せ私は彼の後見人でもあるのだからと叫ぶが、その場にいる誰一人ロイの言う言葉に耳を貸そうとしない。
1人虚しく叫ぶロイの姿は悲しいものがある。
と、こちらでは。
フュリー曹長から情報がこの場にいる者達に的確に伝えられている。
「ヤバイです。肌、露出度80%です。それに機械鎧が、ああ― 破壊されています!」
「何ィ――!それはまずい、ロイの格好の餌食だ」
「ブレダ少尉からの報告では「負傷している彼の姿」に我を忘れているようだと…」
「しまった、遅かったか」
「中佐、落ち着いて下さい。この事は大佐にはまだ、気付かれていないはずです」
「ああ…」
「それに雨も降っています。これでは中尉…」
「いけないわ!」
エドワード達から少しばかり離れた場所でこの会話は行われていた。フュリー曹長は双眼鏡を片手にエドワードに気付かれぬように彼の現状を報告している。
このままでは、エドワードが襲われると判断した。
そろそろ出番だ。
ホークアイ中尉に視線が向けられる。その意味を理解して彼女は動き始めた。
「では、私がさりげなくエドワード君に衣服を着せ掛けます」
では、と敬礼をして彼女はエドワードの元へと駆け寄っていく。
「おお!」
彼女の行動に賛同の声が上がる。
「俺はアルフォンスの方を何とかしますよ!さっきからアイツの視線が怖いんスよね」
「俺もそれは感じていた…」
ハボック少尉がヒューズ中佐に敬礼をしてホークアイ中尉の後を追っていく。残された者達は、彼らの仕事を外側から監視する立場としてその様子を双眼鏡で見守るのであった。
秘密結社「エドワードをロイ・マスタングの魔の手より守る会」
「規約」
@ エドワードに我々の行動を気付かれてはならない。
A 単独でエドワードと行動する時は必ずメンバーの許可を取ること。
B エドワードの身体、肌にむやみに触らない。
C エドワードに近寄る男性を徹底的にマークすること。
D 秘密結社のメンバーはエドワードとお付き合いしてはならない。見守るのみ。
E 恋愛等は本人の意思を尊重すること。
F 実弟であるアルフォンスの意見は絶大である。
G 必須「ロイ・マスタングに彼が”両性体”である」ことを絶対知られてはならない。
H エドワードに"両性体の身体"の件で意見しない。本人が嫌っているから。
(実弟アルフォンスもしくはホークアイ中尉が意見、又は注意を促すのみ)
その他…。まだ、まだ続く。
この規約を元に彼らはエドワードの貞操を守っているのである。もちろん相手はロイ・マスタング大佐をターゲットにされている。他の男性も一応注意はしているが一番の危険人物は「ロイ・マスタング大佐」であった。
何故なら彼本人は気付いていないようだが、「エドワード」に一目惚れしている事、間違いなし。
その確立、90% 残りの10%は、女好きであるという事から除外されている。
そんな彼が、もしエドワードが「両性体」と知れば…。
秘密結社のメンバーの脳裏にはあられもないエドワードの姿が浮かぶのであった。
だから、絶対に守らねばならないのである。
ロイ・マスタングの手から。
ロイの扱いが可哀想。「題名がなかなか決まらなくて…」ま、これでいいや(笑)
ギャグ風に書きたいところですが…。桜が書くとどうなるやら。
これも見切り発車だよ。でも、そんなに長くはならない予定。
一応、4話ぐらいで終われば良し。
桜 美由紀 2005/11/28
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