Winter , again 〜アンタに会えた〜
act.1











まるで、季節がすばやく移り変わるように列車からの風景が変わっていく。
先程まで黄金色の大地が一面に広がっていたのに。
ふと気付けば、音が消えた。
今まで確かに音は聴こえていた。
列車の音。衣擦れの音。乗客の声。様々な生活の音。
消えた。
「アル、音が消えた……」
「ん、ホントだ」
二人は共感しあっていた。
何気に列車の窓から外の景色を見ると。
「わあ――!? すごいよ。兄さん」
「ホントだ。一面真っ白だ!」
二人の瞳に映った景色は一面の銀世界。
どこまでも果てしなく続く無の世界。
そして、寒く厳しい世界。
リゼンブール育ちの彼らにとって雪は珍しい。
温暖な気候。のどかな風景。これらが彼らの故郷。
しかし、今彼らの目の前に広がる世界はまったく正反対な世界なのだ。
「すごいね。雪だよ。それもこんなに一杯…」
「そうだな。オレも初めて見るな」
ガタンガタンと列車の音がこの雪に浸透して音が消える。
そんな風景を飽きることなく二人は見つめ続けていた。
何を思う。
真っ白な世界に何を描く。
「くしゅん…」
列車の窓に張り付いていたエドワードか可愛らしいくしゃみをした。
「ははは…。兄さんそんなに窓にくっついているからだよ。外は寒いんだろうな」
「は…、は、くゅん…。う、うう。ズズッ…。何か、さみ〜い…」
「僕達は温暖なリゼンブール育ちだからね。寒さに慣れてないんだよ」
「そうだな。でもな…一面の銀世界に足跡つけるの楽しみだな。アル…」
「うん♪」
エドワードは鼻をすすりながら、永遠に続く白い世界を見続けていた。

カランカラン。
乾いた音が駅に響く。
「到着、到着。フィンルラ〜、フィンルラ〜」
列車は駅に止まった。
此処はノースシティのフィンルラという村。
二人はある情報を得て、この村に住むミルアーという人物に会いに来たのだ。
ノースシティから離れたこの村は人口僅かな小さな村だ。列車から降りる客も少なければ乗ってくる客も少ない。
そんな駅に彼らは降り立った。
ビューと、突風が二人を歓迎した。
「ヒャー寒いなあ!さすがに…」
「すごい風だね。兄さん」
「おお、さみ〜い。ちょっとコートにマフラーだけじゃ心細いな…」
エドワードはこれから行く家の場所を尋ねようとバラック小屋のような駅長室に震えながら歩いて行った。
バンバン、バンバン。
いつ壊れるかわからないような駅長室の扉を叩く。
ギィーと軋む音と共に扉がやっと開いた。中からは外気に凍える老人が一人顔を出した。
吐く息がお互い白い。
「おや珍しい小僧だ…。どうしたね? 見かけない顔だね」
「あの――すみません。この村に住むミルアーって、人を探しているんだけど…」
エドワードは鼻の頭を赤くして尋ね人の名を出した。するとミルアーという名をしばらく考えるように老人は目を上へ横へと動かして「あっ」と手を叩いた。
「アイツは、なあー此処より上へいるよ。この村はずれだ。おおー、寒いおまえさん部屋に入んなさい。此処は寒くてかなわん…」
そんな親切な老人にエドワードは珍しく遠慮した。
こんな過疎地だ。アルフォンスの存在に誰もが驚くだろう。それから――嫌な思いをする。それがわかっているから、この場で情報を得るだけにしたのだ。もちろんアルフォンスに気付かれないように兄として最低限の気配りをした。
こんな対応をエドワードは隠れてやっている。だが、実のところアルフォンスに気付かれているかもしれない。
それでもお互い暗黙の了解と決め込んでいた。
「ごめん…。急いでいるんだ」


その時のエドワードをどう感じたのか、訊くよしもないが――老人は深く追求して来なかった。唯、彼の行き手を案じる皺がれた顔だけが忘れられない。
それから老人は丁寧に道を教えた。
「お前さん、一晩此処で休んでから行きなさい。今日は天候も良くない。慣れない者達には過酷な道だよ」
老人は何度もエドワードを諭すようにそう言ったが、エドワードはそれを丁寧に断った。
すると老人は白い息を吐きながらエドワードに大きなコートを一枚渡した。
今となってみれば、ちゃんと老人の忠告をきけば良かった。
でも――そのときはわからなかったんだ。
とにかく先を焦っていたのだと思う。












時節ネタとシリアスを書きたくて。
この話なるべく短めに終わる予定。←いつも長編気味なので(汗)大丈夫かな。
まだまだ序章!
ロイ×エドですよ♪まだ、出てきてないけど。 ラブラブ?ちょっと痛い系、シリアスを含みつつ。
雪が書きたかったから。 春になる迄に終了させねば(笑)

桜 美由紀 2006/1/17




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