PROSTITUTION 第二章
PROSTITUTION 売春
報酬を得ることを目的として
不特定の相手(好きでもない男)
と性交すること。
オレはこのまま、持久戦に持ち込みたかった。そう、知らぬ存ぜぬで…絶対に自分から
取引しない、絶対に…自分から等価交換を持ち出したら負けだ。
全てを認めることになってしまうから。
絶対に…アルフォンスを…守るために。
そして、『 』を守るために…。
ずっとだんまりを決め込んでいたオレの態度に豪を煮やした将軍はとうとう己の手によって
チェックメイトを下した。最後の駒を動かした。
「…今日の夕刻、22時にセントラルホテルに来なさい、この機密書類を渡してあげよう…」
「……別に、行く必要はないと思いますが…。オレはそんな書類が欲しいとか誰にも言ってない
ので、何かの手違いかと思いますが?」
「……ふむ〜まぁ…それは良いとして来るときは…。そうだな、君は有名人だから
君とは判らないように来てくれたまえよ。ふっ…」
オレはその言葉を聞いたのを最後に、おもいっきりアルの腕を掴んで将軍の執務室を飛び出した。
一分でも一秒でもこんな、欲望と収賄の渦が立ち込める空間にいたくなかった。
余りの勢いで軍司令部をあとにするオレの事を遮るアルフォンスの不安げな言葉がやっと
耳に聞こえてきた。
「兄さん…兄さん…ってば…」
「 ―――― ごめん、アル…宿に帰ろう…」
「…う〜んっ…」
オレ達は宿に帰った。帰る道々2人とも何も語らずに、ただ歩くだけ前に進むだけだった。
時間は過ぎていく。
止めようとしても過ぎていく。
そして、過去に巻き戻すこともできずに。
すっかり日は落ち、約束の時間が近づいていく刻々と時は過ぎる。
待つこともしてくれない。
お互い沈黙を続けていた。恐らく2人ともお互いを思いやっての事だったのだろう。
だが、その沈黙を破ったのはアルフォンスのほうだった。
オレの心はもう、あの将軍の執務室で決まっていた、逃げ場はなかったから。
将軍の目的が明らかにオレだった、オレが目的ならそれで十分だったから。
オレの身一つでアルフォンスも『 』も救えるならばそれで良かったから。
ただ、あの場にアルフォンスを立ち合わせてしまった事を軍司令部を出でから今迄ずっと
悔いていた。
あんな場所にアルフォンスを居合わせたくなかった。
ごめんな……、アル…。
「兄さん…大佐に相談してみよう。僕今迄ずっと考えていたんだ、ねっ、そうしようよ…」
「駄目だ!絶対!アル、それこそ奴の思い通りになってしまう!それに大佐や他の司令部の
皆に迷惑がかかる。絶対駄目だ!大丈夫…オレがちょっと奴と話してくれば方がつく。
絶対、大佐なんかに言うなよ!」
「兄さん…。そんな駄目だよ!兄さんが犠牲になる必要はないじゃないか!」
「アルフォンス!犠牲なんて言葉使うな!オレは、絶対犠牲だなんて思ってない!これは
オレの罪の咎だ!オレの背負うもんだ!」
「兄さん…!でも、その罪は僕にだってある、決して兄さんだけの所為じゃない!」
「…とくにかく、お前はここから一歩もでるな!そして、誰にも話すな!いいな!」
オレは強くアルフォンスに怒鳴りつけ出かける準備をした。
いつもは三つ編に結っている金髪をほどき手櫛で髪を整え普段着ている洋服ではない
黒い開襟シャツとジーパンに身を包み足早に部屋を飛び出した。
扉を閉めたと同時に青白い練成の光が部屋を包み込んだ。
部屋をアルフォンスが出れないように複雑に練成していったからだ。
アルフォンスの静止の声が木霊する。
「兄さん ――――― !」
オレの耳にアルの悲愴な声が響く否というほどに。
ごめん…、アル。
to be continued
後記
アルの悲痛な叫びとやらを書きたかったのですが…。
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを往く者
↑の予告をみてこの「prostitution」を書き始めたのですが…私のピントずれてますね!
なぜ、あのシーンをみてこんな話になるの(怒)
自分が…謎の生命体に思えてきました。