TAKE OUT!から始まる恋。
act.3











店から出る頃にはエドワードの両脚は、フラフラと陽気に歩みだしている。
その両脚は意味もなく、弾むように歩き出している。
「おい、鋼の、大丈夫かね。やっぱり、しまったなー!」
「だい、じょーぶっーほら♪」
ほら見ろとばかりに、独り先を歩いている姿を見せ付けるが、その時点ですでに可笑しいのだ。
街灯がほのかに光を照らすレンガ作りの地面を弾むように跳んで、いや歩いて行きながら
エドワードは、両手を広げてバランスをとる。
彼の着ている赤いコートが夜の街中に翻るように揺れている。
この街を遊泳するエドワードの姿は街灯の光と今、この夜を照らす朧月に舞っているように
見えた。くるくると赤いコートが円を描きながら舞っている。たかが、少年が少々酔っている
姿にロイの瞳は釘付けになっている。


瞳を外すことができないでいる。一体いつから、私の眼は彼を追っているのだろうか。


ふらつく、彼の手を握り支える。何故こんな事を自分がやっているのか不思議に思ってしまうの
だが、身体が勝手に反応するから仕方がない。
「ほらー。危ないー!」
「ええぇーちゃんと、歩いているよーお、っだ!」
「やっぱり、酔っているよ。鋼の〜」
「ははは
――、これって。酔っているのか!すっげぇー気持ちいい〜♪何か、頭の芯が
ジンジンするけど、気持ちいいー♪」
「困ったなぁ」
「何も、こまんねぇ
、よおー、大佐ぁ ―― ☆」
「いや、鋼の、…」
「あ、ああー。困ったかも
!!いま〜まともに〜、構築式組めません〜。きゃ、は、ははは…」
「きゃー、ははは…じゃないだろう。鋼の、…」
確かに自分が飲ませてしまったのだからと。それも未成年に、その後どうするべきかと色々
考えるが、このまま彼をアルフォンスの元に帰すのは、これまたホークアイ中尉並に
恐ろしい事だ、とわかっている。
仕方がない、とロイはエドワードに選択肢を尋ねるべくフワリ、フワリと歩くエドワードの
腕を捕まえて瞳を合わせる。捕まえなければ話にもならない程彼は、この街を浮遊するように
歩いている。そして、必然的にエドワードの身体はロイの方へと倒れ掛かってくる。



ここで、何かの歯車が思いがけず、回り始めてしまった。



うっとりと、ロイの胸元で上目遣いに見上げる琥珀色の瞳。桜色に色づく瑞々しい口唇。
上気する頬。蜂蜜色の絹糸の如き金髪の後れ毛がかかる白く滑らかな首筋。
予期していなかった事が起こる。ロイの欲情、性欲がエドワードに反応する。

何故、この少年に私の下半身が疼くのだろうか。そして、この胸の鼓動は、鳴りやまない。
いけないとわかっているから、こんなに燃えるのだろうか。少年だから、それとも相手が
鋼の、だからなのか。だからといって、抑えることができない。
それは私が、正常な男性である証。男の肉体は、欲望に素直であるから。

エドワードの桜色に濡れる口唇にロイは誘われるように唇をあわせる。その奥まで味わうように
後頭部の絹糸のような金糸に指を絡め、彼の頤を上へ向かせる。
そして、歯列をゆっくりと開かせてその先の熱い口腔を強請るように舌を進める。
エドワードは何をされているのか、わかっていたが、その行為に抵抗する事ができない。

オレはただ、身体を、身を、委ねてしまっていた。
どうしても、抗えない。頭の中で、警笛が聴こえるけれども、この腕を振り解くことも、ましてや
オレの中で荒れ狂っている大佐の熱い舌、口唇から逃れることもできない。
どうして、どうして…。そればかりが、オレの頭を支配するけれど、気持ちが良かった。
身体が溶けそうに、その感覚をもっと、と思ってしまっていた。

身体の芯が、そして脳髄がうまく物事の善悪を把握できなかった。ロイが与える、浅く
次第に、深くなる口付けに気持ち良さを感じてしまうほどに。エドワードは、溺れていた。
ロイの舌は、エドワードの口腔を貪っていき甘い疼きを与えていく。
エドワードが、息をする事を忘れる程に愛撫した口唇をやっと、ロイが名残惜しそうに
離していく。
エドワードは、荒い息を漏らしながら、ロイに向かって潤んだ琥珀色の瞳を投げかけるが。
その後、どうして良いのやらわからずに。そっと、瞳を彼から逸らす。
ロイも自分の行動に驚きを隠せずにいる。だが、まだエドワードの両腕をしっかりと掴んだままだ。
お互い、瞳を合わせる事などできないまま静寂の時が訪れる。
身体だけが、密着している。そして、互いの身体の熱さを感じる。
コツコツと街路を歩く他人の靴音が響くなか、どうする事もできずにいる2人。
ロイもエドワードも、酔っ払ってしまったからで、解決する出来事なのだろうか。
だが今は、そう思うしかない。酔っていたのだと。どちらともなく、静かに時計の針を
動かしていく。
―――、帰ろう」
と、静かにロイがつぶやく。その言葉にエドワードのほろ酔い状態の頭が、他意なく答えて
しまう。
―――、どこに…?」
間の抜けた、返答に先程の行為は戯言であったのかと思う。ロイは、動悸がする胸を抑えつつも
気を取り直して時計の針を徐々に進めていく。
エドワードの間の抜けた言葉に救われたのかも知れない。
年上のロイでさえ、この間をどうしたらよいのやらと思っていたから。だから、何事もなかったように
振舞おう。それで、お互い良いはずだ。
「このまま、君の宿に連れ帰ったら。アルフォンスの鉄拳が待っているだろう…」
エドワードも次第に、あの熱い抱擁はなかったが如く酔いに任せて言葉を綴っていく。
だが、実際はどう思っていたのだろうか。ロイにふと疑問が浮かび上がるが、これは考えては
いけないことだ。これ以上の介入は、許されない。
「あー。そりゃ―困る―なぁー」
「仕方がない。私の部屋に
――、来るかいー?」
ロイの何気ないひと言が、さらに運命を変えていく。
「おうー!行く〜、行く〜!」
その誘いにも、エドワード自身何の抵抗もなく頷き、ついて来る。
ロイ自身も、あのたぎった熱い何かを胸にしまって2人は、ふらふらと歩いていく。特に
エドワードの足取りは、ほろ酔い気分で進んでいく。



これは、世に言う「お持ち帰り」のパターンではないのだろうかと。
何もかも全てが終わった後に、ロイは気付いてしまうのだが。
お持ち帰りした」男も、「お持ち帰りされた」少年も、今はそんな事考えてもいなかったから。












――、とうとう。エドワード君「キス」されてしまいました。その上、ふふ…。
どうなるのでしょうか。酔った勢いの2人の行動は…。
※この話をエド両性体で書いたらどうなる…(汗)書いてみたいと思ったり?

桜 美由紀 2005/10/28




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